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「携帯メール小説」

「携帯メール小説」_d0042155_313232.gifついに出ますね。

発売は8月2日のようですが、先日僕の手元にも見本が届きました。

小学館の本ということで、何となく「世界の中心で、愛をさけぶ」みたいなブックデザインを想像していたのですが、開けてびっくり。

なんと言いますか、岩波の文芸書みたいな雰囲気の本です。大学で使う教科書みたい。すっごくストイック。

予想の隙を突かれた気分です(表紙にQRコードを使うことだけは予測してましたが)。

なかなか、いい裏切りですね。僕はこういう本も大好きです(でも、売れるのかな?)。



で、本を開いてさらにびっくり。

いや、まあ自分の小説が載ってることは知ってましたけど……。と、とっぷばったーとは。

いいんですか、小学館さん、そんなことして。そこで読者に本閉じられても、僕知りませんよ。





とまあ、初っ端から驚きの連続だったわけですが、ぱらぱらと読み進めていると、じわじわと湧き起こる新たな驚きが。

というのも「あ、この本意外に面白いかも」と思っちゃったわけです。

見開き1ページで、1つの作品、という本の形式がすごく心地いいんですよ。

ぱっと開いて、さっと読んで、ぱらっとめくって、というこれだけの「本を読む」という行為が、こんなに楽しいものだとは思いませんでした。

ページをめくるのが、とにかく楽しいんです。普通の本は、次の文章を読むためにページをめくるんですが、この本はページをめくるために次の文章を読んでしまいます。
(これは、実際本を手にしてみないとわからない感覚です)

考えてみれば、こういう形式の本ってなかなか他にないですよね。作品の長さが均一で、どれも見開きで完結する短編集なんて。

とにかく、一つの視野の中に、物語の全てが収まっているというのが、すごく安定感があるんです。



ほとんどの作品は、WEBや雑誌の方で既に読んだことがあるはずなのに、こうして違った体裁になったものを改めて読んでみると、また新しい印象を受けたりもして、それも面白い。

同じテキストなのに、どこで読まれるか、どのように読まれるかで、違った表情になる。

つまり、メディアの形式も、既にコンテンツの一部なんですよね。再発見。



「携帯メール小説」、一見すると地味な本ですが、なかなかさりげなく素晴らしい本なのです。

O木さん、素敵な本をありがとうございました。
by cos_ary | 2006-07-31 23:09 | 読書


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