人気ブログランキング | 話題のタグを見る

雑感:AppleはなぜFlashを嫌がるんだろう

AppleのFlash問題は色々なところで論議を醸していますが、結局のところ「FlashよりもHTML5に将来を見いだしたから」という建前通りの解釈でいいんじゃないかと思います。

いくら私怨があろうと、iPhoneやiPadほどの巨大なプロジェクトにそれを持ち込むのはナンセンスです。

ジョブズはわがままで気分屋のCEOとして名を知られていますが、同時に世界最高のCEOとしても広く名を知られている存在です。個人的な感情だけでFlashを排することはないでしょう。何せ、宿敵だったIntelとも手を組んだのですから。



ジョブズ復帰以降のAppleは、新製品の開発にあたって大胆な引き算を行なってきました。

初代iMacが良い例です。

iMacでは、当時主流だったプリンター接続用のシリアルポートを廃し、USBを採用しました。また、その当時はまだ現役だったフロッピーディスクのドライブもなくしました。



既に広く流通している規格を次世代のものに移行させるにあたって、一番のボトルネックになるのは、従来の規格が浸透しすぎていることです。

新しいものの方がより優れていても、積極的に乗り換える必然性がなければ、人々は従来の規格に留まろうとしてしまいます。

TVの地上波デジタル放送とかがその例ですね。無理やり力ずくで移行させないと、なかなかみんな乗り換えてくれません。そういうもんです。



Flashは広く流通した技術ですが、Adobeという企業が管理する独自形式です。

HTML5というオープンな形式で同じことが実現できるなら、そちらの方が望ましいでしょう。

ただ、FlashからHTML5に移行するには、世の中にはあまりにFlashが溢れすぎています。

そこを無理やりにでも打破することで、より明るい将来が開ける。Appleの打算は、目先の確執とかじゃなくて、もっと未来を見据えたものだろうと思います。

実際、iPhoneやiPadがFlashに対応してたとしたら、HTML5についての人々の関心はもっと低かっただろうし、WebサイトはもっとFlashに依存していただろうし。



ちなみに、Appleが新しいiPhone OSで、Flashを始めとするObjective-C, Java以外の開発環境からクロスコンパイラを禁止した件については、ここ(アップルはなぜObjective-Cにこだわるのか)に興味深い考察が載っています。

少々推測が過ぎる部分もあるかなあと感じられますが、一読に値します。なんといっても、ロマンがありますね。
by cos_ary | 2010-04-29 01:26 | 雑記


<< iPadレビュー 写真で見るサイズ編 iPadは売れてしまった >>